今回はCDのブックレット・デザインと詩人について書きます。
デザイナーは《プラテーロとわたし》と同じ、十河岳男さん。
画家・山本容子さんとの詩画集と、ギター・大萩康司さんとの2枚組CD、
その両方の「プラテーロ」でご一緒した時から、十河さんの言葉に対する感覚に驚いていました。
今回のCD《ねむれない夜》のなかには4人の詩人がいます。
岡真史
辻まこと
アイヴァ・ガーニー
森崎和江
この4人の方々を、十河さんがブックレット内で住み分けさせてくれました。
詩人が変わるたびに1ページ分の「扉」が置かれていて、
そこには名前だけ。
ページをめくる行為で、その詩人の部屋に入っていくような感覚です。
ブックレット自体が小さな詩集だと、初めてゲラを見たときに感動しました。
存在感の異なる詩人たちをつなぐのは、それぞれの詩に寄り添う悠治さんの音楽。
「ぼくは12歳」は全11曲ですが、詩は13篇が使われています。
5曲めの『へや/ちっこい家』は、2つの詩がつながった1つの歌なのです。
悠治さんによると、
「この『へや』に書かれた“旅”で、何か変化があったんだね」
とのこと。
全曲を演奏するとき、この曲の前と後ではどこか細胞が違ったような感覚になり、
それは《冬の旅》での「リンデンバウム(菩提樹)」の演奏時と似ています。
《ねむれない夜》のブックレットでは、この『へや』から次のページに移るようになっていて、
文字通り、人生のページをめくるようなしつらえです。
辻まことの『さらば佐原村』は、2010年の夏に初演。
いただいた楽譜には、詩の書かれた場所と日時が記されていました。
場所は、都内の病院。
妙に生々しいなあ、と思いながらその文字を眺めていました。
それから2年後、自分も同じ病院に横たわることになるとは。
たった半日でしたが。
ガーニーの『バッハと歩哨』
そして、1回目の緊急事態宣言下で新しく作曲していただいた、
『旅だちながら〜森崎和江3篇』
この2つの作品についてはまた。
______3回目の緊急事態宣言の初日にて