日本語を歌う(2)道しるべ

入梅です。起き抜けの書道タイムがより楽しくなってきました。湿度が上がると墨の香りも高くなる。朝の墨事という気分です。そんな言葉あるのかな?

小学生の頃から小筆で仮名文字を書くのが好きでしたが、書道の稽古はほとんど大筆での漢字。そのうっぷんを晴らそうと中学1年生の冬休み、自由研究として百人一首の小筆書きを思い立ちました。巻紙に憧れていたので、母に障子紙を一巻買ってもらい、それにひたすら百首書いた。紙はかなりの長さになり、提出時にはくるくる巻いたので担任の先生が「?これは?」と不思議がっていました。

今も墨をするとまず、百人一首から書きます。持統天皇、伊勢大輔、和泉式部etc、女性の歌人が多い。最近では感覚や気分を文字にする、なんてこともあり、おや?これは日記といふものかいな?と自笑。

茨木のり子の詩を、来月歌う。

「ぱさぱさに乾いてゆく心を ひとのせいにはするな

みずから水やりを怠っておいて」_自分の感受性くらい

厳しくて強い。でも冷たくない。詩人が自分自身に向けている言葉だとわかっていても、矛先がこちらを向いてきます。この詩は、墨で書くだけで背筋が伸びる。歌いたいと思ったきっかけは「道しるべ」という詩。

昨日できたことが

今日はもうできない

あなたの書いた詩の二行

・・・・略

だれもが通って行った道

だれもが通って行く道

だれもが自分だけは別と思いながら行く道

ハムレットの「To be, or not to be」で始まる長いモノローグに、同じフレーズが出てきます。松岡和子さんの訳では「旅立った者は二度と戻ってこない未知の国」。ハムレットに通じる詩はもう1つあって、「木の実」という作品。髑髏のことを歌った歌です。

寺嶋陸也さん作曲、7編からなる「茨木のり子の詩による歌曲集」。

平安の歌人たちからパワーをもらいつつ、詩を声にする練習をしています。

【7月20日14時開演 オペラシティ・リサイタルホール】