コントラバスの田辺和弘さんは、今回の共演者で一番お付き合いが短い方です。
知り合ってまだ2年ほどですが、彼の音はすでに私の中で欠かせないものになっています。上の写真は2022年2月、田辺さんとの初回のリハーサル時。
太古、ヒトが出した最初の楽器の音はどんなものだったのだろう?
木の塊を叩く
弦(つる)をこする
または はじく
ヒトが歌を歌い出したのと、楽器を見つけたのは
どちらが先?それとも同時?
よくそんなことを考える。
田辺さんとそのコントラバスからは、そんな根っこの音が聞こえてくる。
単にプリミティヴな響きがする、ということではなく、
人や楽器の存在する「場」の音なのかもしれない。
この2年、色んな会場で共演を重ねているけれど、
田辺さんのサウンドを表すぴったりな言葉はまだ見つけられていない。
〈木火土金水〉でいけば、「木」かなあ、やっぱり。
コントラバスとともにある田辺和弘さんは、彼自身が大きな木のようだから。
私にとって理想の発声は、人間の赤ちゃんと、狼の遠吠え。
田辺さんの側で歌うと、そこに少し近づけるようで、うれしい。