日本語を歌う(4)ん?

<このブログは、一声楽家が色々な歌を歌う際に試行錯誤してきたことを書いているものです。よって、音声学その他専門家から見ると間違っていることも多々あるかと思いますが、あくまで「歌うために」それもホールでマイクを使わずに歌うことを前提としています。参考にしてみよう、と思ってくださる方はそこを十分に理解した上でトライしてみてください>

以上、蛇足文でした!

さて、前回に続き、ひらがなについてです。

日本語の歌の発音がうまくいかないときは、どうするか。

「外国の人に説明するように、自分に向かって説明してみて」

と自分にも他人にもアドヴァイスします。

発音に興味がある人でなければ、日頃なんの気なしにしゃべっている言葉を、わかりやすく人に説明するのは難しい。

かのイチローも言っています。

<無意識にやっていることを、意識しなければ>

五十音の中で最も謎なものは、「ん」。こう書いても、不思議な文字です。漢字がひらがなに変化する「変体仮名」を、書道の稽古で少しずつ練習していますが、「ん」の元は「无」だそうです。なんでしょう?これは?という漢字です。

それはさておき、中学校で合唱を始めた頃、ハミングというものが意外にやりにくいなあと感じました。そして「ん」が出てくると、これは口を閉じるのか閉じないのか?どちらにしても、もぞもぞするなあと思いながら歌っていました。謎を解いてくれたのは東京に出て来てからの電車生活。駅名のアルファベットを観察するようになってからです。

新宿 / 新橋

2つの駅の表示では「ん」のアルファベットをちゃんと変えてあります。新宿はn、新橋はmです。

歌うときにこれらの意識がなぜ必要かと言うと、音符の中のどこで「ん」となるか、これが意外にトリッキーだからなのです。喋るときには意識にとどまらない速さで通り過ぎるのですが。

試しに「赤とんぼ」を歌ってみると、不思議具合がわかります。

音符1個を占領する「ん」の発音は、欧米人にはなんとも不思議〜な、謎の物体X、なのだそうです。