日本語を歌う(3)子音は調和

英語の子音レッスンで最も時間をかけるのは「h」です。

how、he、headなどはまだいいのですが、whoが困りもの。Wがついているからではありません。辞書を引くと発音記号には「hu:」とあります。そこで、

「ハヒフの『フー』ですね!」

と発音してしまうと、英語とは全く違う子音になってしまう。口蓋を柔らかくこするhの子音にuの母音が連なるのがwhoです。イギリス人の発音するwhoには、独特のuの母音と相まって、英国の香りが充満。

さて、日本語の「ハ行」においては「ふ」だけ息の当たる場所が違います。ハヒヘホでは、口蓋のほぼ同じ位置に息を当てるのに対して、「ふ」は唇の内側に当てる。hでもfでもない位置です。

つまり種類の異なる子音が、五十音での同じ「行」に入っている。この厄介な現象はサ行、タ行にも存在し、特にタ行に至っては子音が3種類。カタカナで外国語をとらえると危ないのは、この子音の混ざり具合に一因があると思います。

日本語は喋ることができるだけに「歌えていないと、自分でわかる」という辛さがあります。「あーあ、これじゃ日本語に聞こえない」と思いながら歌うのはストレスがたまります。

しかも、「聞こえすぎると、変ですね」と言われるのが日本の子音。20数年前初めてカザルスホールでリサイタルを主催した時に歌った日本歌曲、そのアンケートの中に今も心に刻む一文がありました。

「城ヶ島の雨の『あめ』、mが強すぎて気になった」

そりゃあ、雨を「あんめ」とは、聞きたくないですよねー・・・。

子音の発音にはテクストの持つ意味、音域、共演楽器との音量バランス、そして本番でのホールの残響など様々な「さじ加減」が必要とされます。いろんな曲を歌いたい歌手としては、和のスプーン、英の匙など各種取り揃えてみたく、精進中です。

英語で子音は「consonant」。

語源はラテン語で「調和する(音)」。

日本語では、母の音ー子の音。 東西の違いかな?